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日別アーカイブ: 2026年7月17日

小山総業のよもやま話~危険を先読みする~

皆さんこんにちは!
株式会社小山総業です。

 

 

~危険を先読みする~

 

足場工事は、高所で重量のある部材を扱う仕事です。

組み上がった足場を利用する職人の安全はもちろん、足場を組み立てたり解体したりする職人自身の安全も守らなければなりません。

足場の組立作業では、まだ手すりや作業床が完全に設置されていない場所で作業する場面があります。解体時には、安全設備を順番に取り外しながら作業を進めるため、手順を誤ると転落や部材落下の危険が高まります。

厚生労働省によると、建設業では墜落・転落による死亡災害が依然として発生しており、足場に関する墜落防止措置が強化されてきました。

今回は、足場工事業における安全技術と、事故を防ぐための考え方を紹介します。

作業前の打ち合わせが安全をつくる

足場の組立を始める前には、現場責任者と職人が作業内容を確認します。

足場の種類、高さ、組立範囲、部材の搬入方法、作業順序、危険箇所、天候などを共有します。

図面が用意されている現場でも、実際に現場を見ると、図面だけでは分からない障害物が見つかることがあります。

電線、看板、植木、室外機、配管、地下設備などがある場合は、それらを避ける方法や保護方法を考えなければなりません。

道路や歩道に近い現場では、通行人や車両への対策も必要です

「いつもと同じ住宅だから大丈夫」と考えず、その現場特有の危険を確認することが、安全作業の第一歩です。

組立手順を守る技術

足場は、決められた順序に沿って組み立てます。

地面を整え、脚部を設置し、支柱、手すり、作業床、筋交いなどを取り付けながら、上の段へ進んでいきます。

作業を急ぐために必要な部材を後回しにすると、一時的に不安定な状態が生まれる可能性があります。

組立途中であっても、できる限り早い段階で手すりなどの墜落防止設備を設け、職人が安全な状態で次の作業を行えるようにすることが重要です。

厚生労働省は、足場の設置計画に応じた具体的な作業手順を定め、関係する労働者へ周知したうえで、手順に基づいて作業することを求めています。

熟練した職人の作業が速いのは、確認を省いているからではありません。

次に必要な部材や作業を理解し、安全な順番を崩さずに動けるからこそ、無駄のない作業ができるのです

解体作業は組立以上の注意が必要

解体作業では、組み立てたときと反対の順序で部材を取り外していきます。

一見すると、組立より簡単に見えるかもしれません。しかし、部材を外すたびに足場の強度や安全設備が減っていくため、慎重な判断が必要です。

先に壁つなぎや筋交いを外してしまうと、足場が不安定になる可能性があります。

作業床や手すりを取り外した後は、開口部や端部が増えます。職人は自分の立ち位置と墜落制止用器具の取付位置を確認しながら作業しなければなりません。

取り外した部材を足場上へ積み過ぎることも危険です。

荷重が一か所へ集中するだけでなく、通路が狭くなり、つまずきや部材落下につながります。

解体作業では、「どの部材を外したら足場がどう変化するのか」を常に考える力が必要です

墜落制止用器具を正しく使用する

高所作業では、墜落制止用器具が重要な安全装備です。

ただ装着していればよいわけではなく、適切な取付設備へ確実に接続しなければなりません。

移動するたびに接続を外していると、その瞬間に墜落する危険があります。できるだけ無接続状態をつくらないよう、作業場所や移動方法を考える必要があります。

取付位置が低すぎたり、強度のない部材へ接続したりすると、万が一の際に十分な効果を発揮できない可能性があります。

作業前には、器具のベルト、金具、フック、ランヤードなどに損傷がないか確認します。

安全装備は最後の命綱ですが、装備だけに頼るのではなく、作業床、手すり、安全な作業手順と組み合わせて使用することが大切です

部材落下を防ぐ技術

足場工事では、支柱、踏板、手すり、筋交い、金具など、多くの部材を扱います。

高所から部材や工具が落下すると、地上の作業員や通行人に重大な危険が及びます。

そのため、足場の下には立入禁止区域を設け、関係者以外が入らないようにします。

部材を手渡しする場合には、受け取る側が準備できていることを確認してから渡します。

声を掛けずに部材を離したり、投げ渡したりしてはいけません。

工具には落下防止コードを使用し、小さな金具をポケットや専用袋へ入れるなど、作業中に落とさない工夫も必要です

住宅地では、隣家の屋根、車、植木などが足場の近くにある場合があります。養生材を設置し、万が一の接触や落下に備えることも足場工事会社の責任です。

職人同士の合図と連携

足場工事では、一人だけで作業を進めることはほとんどありません。

地上で部材を準備する人、途中の段で受け渡す人、上部で取り付ける人など、複数の職人が役割を分担します。

騒音のある現場では声が聞こえにくいことがあります。短く分かりやすい声掛けや、決められた合図を使用することが大切です

部材を渡す際には相手の目や手元を確認し、「持った」「離す」といった意思を共有します。

経験豊富な職人同士であっても、思い込みは事故につながります。

「相手が受け取ったと思った」「もう固定したと思った」という認識の違いをなくすため、確実な合図が必要です。

チーム全体の動きを見ながら、自分の作業速度を調整することも重要な技術です。

足場の組立等作業主任者の役割

一定の足場の組立、解体または変更を行う場合には、必要な資格を持つ人の中から、足場の組立て等作業主任者を選任する必要があります。

厚生労働省の資料では、つり足場、張出し足場または高さ5メートル以上の構造の足場の組立・解体・変更作業が、作業主任者を必要とする対象として示されています。

作業主任者は、名前だけを登録する役割ではありません。

作業方法や職人の配置を決め、作業の進行状況を確認し、安全設備や保護具の使用状況を監視します。

現場の状況が変化した場合には、当初の計画にこだわらず、作業を止めて方法を見直す判断も必要です。

安全を守る責任者が明確であることは、現場全体の意識を高めることにつながります。

点検は組立後だけではない

足場は完成時に確認すれば終わりではありません。

作業中に部材が緩んだり、別業者が作業のために手すりを外したりする可能性があります。強風や大雨、地震などの後には、足場の状態が変化していることもあります。

点検では、作業床の損傷や取付状態、部材の接続部、緊結金具、手すり、幅木、脚部の沈下、筋交い、壁つなぎなどを確認します。厚生労働省は、足場の種類別に点検項目を整理したチェックリストを公開しています。

2023年10月からは、足場の点検を行う際の点検者の指名と、組立・一部解体・変更後に点検した人の氏名の記録・保存が必要になりました。また、2024年4月からは、幅1メートル以上の箇所で足場を使用する場合、原則として本足場を使用することが求められています。

点検結果を記録することで、「誰かが見たはず」という曖昧な状態を防ぎ、必要な補修や是正を確実に行えます。

天候による中止判断も技術の一つ

足場工事は屋外で行うため、風、雨、雪、雷、暑さなどの影響を受けます。

予定どおり工事を進めたい気持ちがあっても、安全を確保できない状況では作業を中止する判断が必要です。

特に高所では、地上より風が強く感じられる場合があります。長い部材やメッシュシートは風の影響を受けやすいため、注意が必要です️

雨で作業床や部材がぬれると、滑りやすくなります。猛暑時には、熱中症による判断力や集中力の低下にも気を付けなければなりません。

作業を続けるか中止するかを判断し、再開前に設備を点検することも、安全を守るための専門技術です。

ヒヤリハットを共有する

事故には至らなかったものの、「部材を落としそうになった」「足を滑らせた」「連絡が伝わっていなかった」といった出来事は、将来の事故につながる可能性があります。

個人の失敗として隠すのではなく、チームで共有し、原因と対策を考えることが重要です。

部材置き場を変更する、合図を統一する、作業順序を見直すなど、小さな改善を積み重ねることで、同じ危険の繰り返しを防げます

安全管理は、ルールを覚えるだけでは完成しません。

現場で発生した経験を次の現場へ生かし、より安全な方法へ更新していく取り組みが必要です。

まとめ

足場工事における安全技術は、墜落制止用器具を着用することだけではありません。

事前調査、作業計画、組立・解体の順序、部材の受け渡し、落下防止、点検、天候判断、職人同士の連携など、すべての工程が安全につながっています。

足場工事は、高所で作業する自分たちの命だけでなく、足場を利用する職人や、現場周辺を通る人の安全も支える仕事です。

事故が起きてから対策するのではなく、起こり得る危険を事前に想像し、一つずつ取り除いていくことが足場職人の本当の技術です✨

安全な足場は、慎重な確認と確実な作業の積み重ねによってつくられているのです。